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【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

目次

 

1.スケジュール一覧表を参考に相続でやることの全体像を把握する

2.相続発生後7日以内にやること【死亡届・葬儀関係】

 ①死亡診断書の取得

 ②死亡届と火葬許可申請の提出

 ③埋葬許可証の取得

 ④退職の手続き

3.相続発生後10日以内にやること【年金関係】

 ①年金受給者死亡届を提出

4.相続発生後14日以内にやること【住民票・保険関係】

 ①世帯主変更届(住民異動届)の提出

 ②介護保険資格の喪失届を提出

 ③健康保険の資格喪失届(国民健康保険異動届出書)を提出

5.相続発生後1か月以内には忘れずにやること【契約関係】

 ①公共料金(水道・電気・ガス)の契約変更・解約手続き

 ②NHKの契約変更・解約手続き

 ③クレジットカードの解約手続き

 ④運転免許証・パスポートなどの身分証明になる物の返納

 ⑤固定資産税や住民税の請求先の変更手続き

 ⑥携帯、固定電話、サブスク、Wi-Fiなどの有料サービスの名義変更・解約手続き

6.相続発生後3か月以内にやること【相続人・相続財産・遺言書関係】

 ①相続人が誰になるのかを戸籍謄本を基に調査する

 ②相続財産がいくらあるか、どこにあるか調査する

 ③遺言書の検認手続きをする

7.相続発生後4か月以内にやること【所得税関係】

 ①所得税の準確定申告を行う

 ②青色申告を引き継ぐ

8.相続発生後10か月以内にやること【遺産相続・名義変更関係】

 ①遺産分割協議を行う

 ②遺産分割協議で遺産の配分を決める

 ③遺産分割協議書を作成

 ④銀行や株などの証券口座の名義変更・解約手続き

 ⑤生命保険の死亡保険金や入院保険金を申請する

 ⑥相続登記(不動産の名義変更)の手続き

 ⑦自動車の名義変更の手続き

 ⑧相続税の申告

9.相続発生後1年以降に行うべき相続手続き

 ①【1年以内にやること】遺留分侵害額請求を行う

 ②【2年以内にやること】健康保険の葬祭費と埋葬費の請求を行う

 ③【5年以内にやること】遺族年金の請求を行う

10.相続手続きは誰に頼めばいい? 

 ①遺産分割協議書など各種書類の作成を取り扱う行政書士(当事務所)

 ②税務申告に対応できる税理士

 ③相続登記が得意な司法書士

 ④相続全般、トラブルにまで対応できる弁護士

【まとめ】相続の手続きはなるべく早めに専門家に相談・依頼するべし

1.スケジュール一覧表を参考に相続でやることの全体像を把握する

 家族が亡くなると、遺された人は相続手続きをはじめとした様々な手続きに追われることになります。
 相続手続きの中には期限が決まっているものもあるので、スケジュール一覧表を参考にして流れや全体像を把握しておきましょう。

期日 手続き内容 対象となる人 手続き先
相続発生後7日以内 2-① 死亡診断書の取得 すべての人 病院(事故の場合は警察)
2-② 死亡届と火葬許可申請の提出 すべての人 市区町村役場
2-③ 埋葬許可証の取得 すべての人 火葬場
2-④ 退職の手続き 故人が勤めていた場合 勤務先
相続発生後10日以内 3-① 年金受給者死亡届を提出 故人が年金を受給していた場合 年金事務所、街角の年金相談センター
相続発生後14日以内 4-① 世帯主変更届(住民異動届)の提出 故人が世帯主であった場合 市区町村役場
4-② 介護保険資格の喪失届を提出 すべての人 市区町村役場
(被用者保険は勤務先、健康保険組合)
4-③ 健康保険の資格喪失届(国民健康保険異動届出書)を提出 すべての人 市区町村役場
(被用者保険は勤務先、健康保険組合)
相続発生後1か月以内 5-① 公共料金(水道・電気・ガス)の契約変更・解約手続き 必要に応じて 電気、ガス、水道事業者など
5-② NHKの契約変更・解約手続き 必要に応じて NHK
5-③ クレジットカードの解約手続き 必要に応じて カード会社
5-④ 運転免許証・パスポートなどの身分証明になる物の返納 必要に応じて 警察署、パスポートセンターなど
5-⑤ 固定資産税や住民税の請求先の変更手続き 必要に応じて 市区町村役場
5-⑥ 携帯、固定電話、サブスク、Wi-Fiなどの有料サービスの名義変更・解約手続き 必要に応じて 携帯、固定電話会社、サブスクなどの有料サービス会社
相続発生後3か月以内 6-① 相続人が誰になるのかを戸籍謄本を基に調査する すべての人 戸籍謄本は市区町村役場で取得
6-② 相続財産がいくらあるか、どこにあるか調査する すべての人 手続き先なし
6-③ 遺言書の検認手続きをする 遺言書がある場合 家庭裁判所
相続発生後4か月以内 7-① 所得税の準確定申告を行う 必要に応じて 税務署
7-② 青色申告を引き継ぐ 必要に応じて 税務署
相続発生後10か月以内 8-① 遺産分割協議を行う 遺言書がない場合 手続き先なし
8-② 遺産分割協議で遺産の配分を決める 遺言書がない場合 手続き先なし
8-③ 遺産分割協議書を作成 遺言書がない場合 手続き先なし
8-④ 銀行や株などの証券口座の名義変更・解約手続き 必要に応じて 銀行、証券会社
8-⑤ 生命保険の死亡保険金や入院保険金を申請する 故人が保険に加入していた場合 保険会社
8-⑥ 相続登記(不動産の名義変更)の手続き 必要に応じて 法務局
8-⑦ 自動車の名義変更の手続き 必要に応じて 運輸支局など
8-⑧ 相続税の申告 必要に応じて 税務署
相続発生後1年以内 9-①遺留分侵害額請求を行う 必要に応じて 他の相続人などに請求
相続発生後2年以内 9-②健康保険の葬祭費と埋葬費の請求を行う 条件に該当する場合 市区町村役場または健保組合
相続発生後5年以内 9-③遺族年金の請求を行う 条件に該当する場合 市区町村役場または健保組合

2.相続発生後7日以内にやること【死亡届・葬儀関係】

①死亡診断書の取得

家族が病院で亡くなった場合は病院の主治医から、自宅で亡くなった場合はかかりつけ医などから死亡診断書を交付してもらいます。診療中の病気以外で亡くなった場合や不慮の事故で死亡したときは警察に連絡して医師から死体検案書をもらいます。

 死亡診断書(死体検案書)は死亡届と1枚の用紙になっています。死亡診断書をもらったら、右側の死亡届に必要事項を記入します。

【オススメする事項】

(1)死亡診断書は、この後のさまざまな手続きで必要になるため、死亡がわかった日の当日か次の日にはもらうようにすることをオススメします。

(2)役所に死亡届を提出すると死亡診断書は手元に残らないため、あらかじめ複数枚発行してもらうか、コピーを取っておくようにすることをオススメします。

②死亡届と火葬許可申請の提出

 家族が亡くなったときには、亡くなったことが分かってから7日以内に市区町村役場に死亡届を提出する必要があります。実際には葬祭業者が提出してくれることが多いですが、用紙への記入は遺族が自ら行います。

 提出する市区町村役場は次のいずれかになります。

・故人の死亡地

・届出人の所在地

・故人の本籍地

※国外で死亡したときは、3か月以内に滞在国の大使館、総領事館または本籍地の市区町村役場に提出します。

 死亡届を提出した後、火葬の許可を申請します。火葬許可証は遺体を火葬する場合に必要になるため、必ず申請しなければなりません。市区町村によっては、死亡届を提出するだけで火葬許可証が発行される場合もあります。ほとんどの葬儀会社が手続きを代行してくれます。火葬許可証は、火葬のときに火葬場に提出します。

③埋葬許可証の取得

 火葬が終われば埋葬許可証をもらいます。埋葬許可証は、遺骨をお墓や納骨堂に納めるときに必要になります。遺骨(骨壺)を収めた木箱に入れるなどして紛失しないようにしましょう。

④退職の手続き

 故人が会社などに勤めていた場合は、死亡後できるだけ早く勤務先に連絡して退職の手続きをします。

3.相続発生後10日以内にやること【年金関係】

①年金受給者死亡届を提出

 亡くなった人が年金を受給していた場合には、速やかに受給停止手続きをして年金を過剰に受け取らないようにしましょう。手続きが遅れてしまい、年金を余分に受け取ってしまった場合には、後日年金を返さなければなりません。

 年金の受給停止手続きの概要と必要書類は、次の通りです。

提出期限 国民年金:死亡日から14日以内
厚生年金:死亡日から10日以内
提出する人 亡くなった方の配偶者や親族、同居人
提出先

国民年金:住民地の市区町村役場
厚生年金:社会保険事務所

必要書類 ・年金受給者の死亡届
・年金証書
・死亡診断書のコピーもしくは戸籍抄本

【オススメする事項】

(1)年金受給停止手続きと合わせて、未支給年金を同時に請求しておくことをオススメします。

(2)未支給年金は亡くなった人の遺族が請求できます。

(3)未支給年金の請求期限は亡くなってから5年となります。

4.相続発生後14日以内にやること【住民票・保険関係

①世帯主変更届(住民異動届)の提出

 故人が世帯主だった場合は、死亡後14日以内に、同一世帯の方または代理人が、市区町村に世帯主変更届を提出しなければなりません。変更後の世帯主には、15歳以上であれば誰でもなることができます。

世帯主変更届の提出方法や必要書類は、次の通りです。

提出期限 死亡日から14日以内
提出する人 同一の世帯員、代理人
提出先

亡くなった方の住所地の市区町村役場窓口

必要書類 ・住民異動届
・本人確認書類(保険証や運転免許証など)
・印鑑
・委任状(代理人が提出する場合)

【オススメする事項】

(1)市区町村役場に提出するものなので死亡届の提出と同時に行うことをオススメします。

※世帯に残った人が1人だけの場合や母と幼い子供(15歳未満)だけの場合など、誰が世帯主になるかが明確な場合は提出の必要はありません。

②介護保険資格の喪失届を提出

 介護保険は死亡した日の翌日から資格喪失となり、死亡後14日以内に資格喪失届を市区町村へ提出する必要があります。

 手続き方法と必要書類は、次の通りです。

提出期限 死亡日から14日以内
提出する人 亡くなった方の配偶者や親族、同居人
提出先

市区町村の福祉課窓口

必要書類 ・介護保険資格喪失届
・介護費保険者証

※介護保険資格の喪失届の手続きを行うと、未納分や払い過ぎの介護保険料がないか再計算され、次の通りになります。

・未納分がある場合:相続人が不足分を納める必要があります。

・払いすぎがある場合:相続人に還付金が支払われます。

③健康保険の資格喪失届(国民健康保険異動届出書)を提出

 健康保険は死亡した日の翌日から資格喪失となり、死亡後14日以内に資格喪失届を市区町村へ提出し、健康保険証を返却する必要があります。

 日本国内に住所がある人は年齢や国籍に関わらず、以下のいずれかの健康保険に加入しています。

・国民健康保険:自営業者や学生

・後期高齢者医療保険:75歳以上の人

・被用者の健康保険:会社員や公務員

 

 世帯主が死亡したときは、扶養されていた家族も死亡日の翌日に健康保険等の資格喪失をしてしまいますので、健康保険証を返却し、新たに健康保険に加入する手続きが必要です。その場合の新たな健康保険の手続きは以下の2つの方法があります。

・自分で国民健康保険に加入する。

・会社員となっている家族の被扶養者になる。

 

手続き方法や必要書類は、それぞれ次の通りです。

保険 国民健康保険 後期高齢者医療保険 その他の健康保険
提出期限 死亡日から14日以内 死亡日から14日以内 死亡日から5日以内
提出する人 亡くなった方の配偶者や親族、同居人、代理人 同一の世帯員、代理人 同一の世帯員や勤務先担当者
※一般的には、勤務先の総務や人事担当者等が退職手続きと合わせて行います。
提出先

亡くなった方の住所地の市区町村の国民健康保険窓口

亡くなった方の住所地の市区町村の国民健康保険窓口

勤務先の会社や協会けんぽ、健康保険組合

必要書類 ・国民健康保険異動届(資格喪失)
・国民健康保険証の原本
・高齢受給者証(70歳から75歳までの人の場合)
・戸籍謄本など
・世帯主の印鑑
・本人確認書類
・委任状(代理人が提出する場合)
・後期高齢者医療被保険者資格喪失届
・後期高齢者医療被保険者証
・戸籍謄本など
・世帯主の印鑑
・本人確認書類
・委任状(代理人が提出する場合)
・健康保険
・厚生年金保険被保険者資格喪失届
・健康保険被保険者証
・死亡退職届
・その他会社から求められた書類

【オススメする事項】

(1)健康保険証は各種手続きの本人確認にも使われますので、紛失して第三者に悪用されることがないように、早めに返却することをオススメします。

(2)亡くなった人が加入していた健康保険では、遺族の金銭的な負担を軽減するため、葬祭費や埋葬料の支給制度を設けている場合もあります。この請求をする場合、期限には余裕がありますが、健康保険の手続きと一緒に行うことをオススメします。

5.相続発生後1か月以内には忘れずにやること【契約関係】

①公共料金(水道・電気・ガス)の契約変更・解約手続き

 故人名義の口座やクレジットカードから自動引き落としで公共料金を支払っていた場合、死亡後の口座凍結やクレジットカード利用停止で自動引き落としができなくなり支払いが滞る恐れがあります。引き続き利用する場合は、できるだけ早く手続きをしましょう。

手続き期限 死後1か月以内を目途に
手続き先

電力会社・水道局・ガス会社など

必要書類 口座振替依頼書など(各契約会社に問い合わせてください)

②NHKの契約変更・解約手続き

 故人が世帯主であった場合で家族が引き続きテレビを見る場合は、契約者氏名変更の手続きをします。故人が一人暮らしをしていた場合でも、解約するまでは受信料が発生し続けますので、契約者が死亡したことをNHKに連絡しましょう。尚、故人の預金口座が凍結されると入金ができなくなるため、返金がある場合は遺族の口座をお伝えすることをオススメします。

③クレジットカードの解約手続き

 故人がクレジットカードを持っていた場合は、カードの裏面に記載されている連絡先に連絡して解約の手続きをします。尚、故人が生前に利用していた代金を、指定の期日まで支払う必要があります。

 クレジットカードは盗まれると第三者に悪用される恐れがあります。また、使わなくても年会費が引き落とされる場合がありますので、不正利用や年会費の支払いを避けるためにも、早めに解約の手続きをすることをオススメします。

 解約の手続きが終わったら、カードはハサミで裁断しましょう。

手続き期限 死後1か月以内を目途に
手続き先

各契約会社

必要書類 亡くなったことがわかる故人の住民票の除票など(各契約会社に問い合わせてください)

④運転免許証・パスポートなどの身分証明になる物の返納

 故人の運転免許証やパスポートは各種手続きの本人確認に使われます。紛失などして第三者に悪用されないように、早めに返却の手続きをすることをオススメします。

 マイナンバーカードについては、返却が必要かどうか自治体によって対応が分かれています。相続後の手続きで必要になる場合もあるため、しばらくの間は大切に保管しておくことをオススメします。

身分証明になる物 運転免許証の返納 パスポートの返納
提出期限 死後1か月以内を目途に 死後1か月以内を目途に
手続き先

最寄りの警察署

都道府県の旅券課またはパスポートセンター

必要なもの ・返納する免許証
・死亡診断書のコピー
・死亡の記載のある戸籍謄本または住民票の除票
・届出人の本人確認書類
・認印など
・返納するパスポート
・死亡診断書のコピー
・死亡の記載のある戸籍謄本または住民票の除票など
備考 更新期限が来れば自動的失効します 期限切れのパスポートは返納手続きする必要はありません

⑤固定資産税や住民税の請求先の変更手続き

 故人が納める必要があった固定資産税と住民税は、故人の代わりに遺族が支払う必要があります。

 固定資産税は1月1日時点の不動産所有者に課税され、住民税は前年の所得について課税されます。死亡したとしても納税が免除されることはなく、未払の税金として遺族が引き継ぐことになります。

 納期限に遅れると延滞税がかかるため、納付書が確実に届くように請求先を変更する「相続人代表者指定届出書」の提出手続きをする必要があります。詳しい手続き方法は市区町村役場の担当部署に確認してください。

 尚、この届出は、相続登記が完了するまでの間、固定資産税に関する通知書の送付先を確認するための届出であり、相続の権利とは一切関係ありません。

⑥携帯、固定電話、サブスク、Wi-Fiなどの有料サービスの名義変更・解約手続き

 故人名義で携帯電話、固定電話、サブスク、Wi-Fiなどの有料サービスを使用していた場合は各契約会社に名義変更や解約の手続きが必要です。これらの契約は、解約日までの日割り料金が発生するのが一般的ですが、詳細については各契約会社に問い合わせてください。

手続き期限 死後1か月以内を目途に
手続き先

各契約会社

必要書類 死亡の記載のある戸籍謄本または住民票の除票など(各契約会社に問い合わせてください)
備考 利用代金の残額がある場合は清算が必要です

6.相続発生後3か月以内にやること【相続人・相続財産・遺言書関係】

①相続人が誰になるのかを戸籍謄本を基に調査する

 相続人の調査は故人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本などを収集して、誰が相続人になるかを確認します。なぜ故人の戸籍謄本が死亡時点のものだけでなく、生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本が必要かというと、相続人が知らない隠し子や婚姻歴がないかなどを調査し、法定相続人にあたる人物を特定するためです。戸籍謄本は、法改正や結婚、転籍などにより3~8通程度ある人が多いです。

 亡くなった人の戸籍謄本の収集が完了したら、法定相続人の特定を行います。法定相続人になる人は、次のように民法で順位が定められています。

 

・常に相続人:配偶者

・第1順位:子(子が死亡している場合は孫)

・第2順位:父母(父母が両方とも死亡している場合は祖父母)

・第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合は甥・姪)

 例えば配偶者と子供がいる場合は、配偶者と子供が法定相続人になり、亡くなった人の父母や祖父母は法定相続人にはなりません。

 法定相続人が確定したら、相続人全員の戸籍も収集していきましょう。相続人の戸籍が必要になるのは、相続開始時に相続人が生存していたことを証明するためです。

戸籍謄本の取得方法や必要書類は、次の通りです。

取得できる窓口 本籍がある(あった)市区町村役場
※郵送可
取得できる人 本人
配偶者
直系血族
代理人
手数料の目安

戸籍謄本1通:450円
除籍謄本や改製原戸籍謄本1通:750円

必要なもの ・申請書(窓口または役場HPからダウンロード)
・本人確認書類
・代理の場合は委任状
・郵送の場合は定額小為替

※詳しい戸籍謄本の取得方法は各市区町村のホームページで確認できます。

②相続財産がいくらあるか、どこにあるか調査する

 相続財産を調査するのは主に次の3つの理由からです。

(1)スムーズに遺産相続をするため

 すぐに分かる財産だけを対象に相続をした場合、あとで相続財産が見つかったときにもう一度手続きをやり直さなければなりません。はじめから相続財産を正確に調べておけば、手続きをスムーズに進めることができます。

(2)相続税を正確に申告するため

 相続税申告漏れがあれば、税務調査を受けて相続税を追加徴収されるだけでなく、延滞税や過少申告加算税などが課される可能性もあるので、相続税を正確に申告するためにも相続財産の調査が欠かせません。

(3)故人の借金を肩代わりしないため

 故人の借金を肩代わりしないように借金や債務保証の有無を調べておく必要もあります。借金や債務保証も遺産相続の対象に含まれます。

 

 相続財産の調査を行う流れは、以下の通りです。

手順1:相続財産の種類を把握する

 以下のように相続財産は現金や預貯金といったプラスの相続財産と借金などのマイナスの相続財産分けられますが、相続財産に含まれないものもあるので注意が必要です。

プラスの相続財産 マイナスの相続財産 相続財産に含まれないもの 
現金や預貯金などの現物財産 借金やローンなどの負債 墓地・仏壇・遺骨などの祭祀財産
不動産 連帯保証などの保証債務 香典や葬儀費用、埋葬料
借地権など不動産上の権利 損害賠償債務 故人以外が受取人の生命保険金
自動車や貴金属などの動産 未納の税金などの公租公課  
株式や国債などの有価証券 買掛金  
その他証券 その他、未払債務  
著作権などの知的財産権    
亡くなった人が受取人の生命保険金    

手順2:相続財産の資料を探す

 故人の相続財産に当たるものが何かを確認したら、実際に相続財産の資料や手がかりを探していきます。具体的には、故人の自宅や貸金庫などを中心に、大切そうなものを保管していそうな場所を探します。

 相続財産の手掛かりとなるのは、主に以下のような資料です。

(1)預金通帳やキャッシュカード

(2)銀行や証券会社等からの郵便物

(3)不動産の権利証、登記簿謄本

(4)不動産の売買契約書

(5)不動産の納税通知書

(6)借用書や請求書

(7)確定申告書の控え

 尚、預金通帳は残高を把握するだけでなく、過去の入出金記録から他の相続財産を把握するのにも役立ちます。過去の取引明細も確認しておくことをオススメします。

 

手順3:相続財産の種類に合った調査を進める

 故人が所有していた相続財産の種類を把握できたら、財産の具体的な評価に移ります。
 財産に合った調査方法を選択し、どんな財産をいくら所有していたのかを把握していきます。

 財産別の相続財産の調査方法は、以下の通りになります。

(1)不動産の調査方法:登記事項証明書や固定資産評価証明書を取得する

(2)預貯金や有価証券の調査方法:口座を開設していそうな金融機関に電話・訪問をして相続発生の事実を伝え、窓口で残高証明書を取得する。

(3)その他の相続財産の調査方法:生命保険会社などに問い合わせを行い、名義変更や解約手続きなどの確認をする。

③遺言書の検認手続きをする

 遺言書がある場合、法定相続分と異なる割合での遺産分割や法定相続人以外に財産を受け継げますが、遺産分割協議完了後に遺言書が見つかってしまうと、遺産分割協議のやり直しになる恐れがあり、非常に手間がかかります。そのため、亡くなった人から遺言書の存在を知らされていなくても、相続手続きを始めるときに遺言書を探しておくのが非常に重要です。遺言書が見つかった場合には、遺言書の種類によっては家庭裁判所での検認手続きが必要になります。

 遺言書は主に自筆遺言書と、公正証書遺言があります。それぞれ有無の確認方法や、存在を確認した際の対応は次の通りになります。

【自筆証書遺言】
・自宅で保管されている場合は開封せずに家庭裁判所での検認が必要
・法務局で保管されている場合には検認不要

【公正証書遺言】
・公証役場の「遺言検索システム」により公正証書遺言を探すことができる
・家庭裁判所による検認不要

 

 遺言書の有無の確認から検認の手順は、次の通りになります。

手順1:自筆自筆証書遺言書の有無を確認する。

 遺言書の有無を調査する際には、亡くなった人が大切なものを保管していそうな場所を重点的に探しましょう。
 具体的には、以下の場所を探してみるのがオススメです。

・自宅

・入院先の病院

・入所していた施設

・貸金庫

 

手順2:公正証書遺言の有無を確認する。

 亡くなった人が公正証書で遺言書を作成していた場合には、公証人役場で原本が保管されています。最寄りの公証人役場で遺言書の有無を検索してみましょう。
 検索手続きの方法や必要書類は、次の通りです。

手続き期限 死後速やかに、なるべく早く
手続きできる人 相続人(代理人でも可)
手続き先

全国の公証役場(遺言書が作成された公証役場)

必要書類 ・遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本
・相続人と遺言者の関係がわかる戸籍謄本など
・本人確認書類
・委任状(代理人の場合)
手数料 ・検索は無料(全国の公証役場)
・閲覧:1回200円
・謄本:1枚250円(遺言が作成された公証役場)

手順3:公正証書遺言以外であれば家庭裁判所の検認が必要になります。

 公正証書以外は家庭裁判所での検認手続きが必要なので、相続人であっても勝手に開封できません。遺言書を勝手に開封してしまうと、違法行為であり過料が課せられる恐れがあります。

 ただし、開封してしまった遺言書も効力が失われるわけではないので、開封手続きを行いましょう。

 家庭裁判所での検認手続きの流れは、次の通りです。

(1)家庭裁判所に検認の申立てをする。

(2)相続人全員に検認期日が通知される。

(3)検認期日に相続人が立会いのもと遺言書を開封する。

(4)検認済証明書の申請と交付をする。

 

 遺言書の検認申立ての手続きと必要書類は、次の通りです。

手続き先 故人の最後の住所地の家庭裁判所
手続きできる人 遺言書の保管者、遺言書を発見した相続人
必要書類 ・遺言書の検認申立書
・遺言書
・相続関係がわかる戸籍謄本など(除籍、改製原戸籍など)
手数料 ・収入印紙800円分
・連絡用の郵便切手

7.相続発生後4か月以内にやること【所得税関係】

①所得税の準確定申告を行う

 準確定申告とは、亡くなった人について行う確定申告のことです。
亡くなった人に不動産収入や事業収入があった場合や、大きな財産を売却していた場合等には、準確定申告が必要となります。

 準確定申告が必要なケースは、主に以下の通りです。

・個人で事業を行っていた

・不動産を賃貸していた

・2ヶ所以上から給料をもらっていた

・給与所得が2,000万円を超えていた

・給与や退職金以外の所得があった

・多額の医療費の支払いがあった

 通常の確定申告は毎年11日から1231日までの所得を翌年315日までに申告しますが、準確定申告は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内にしなければなりません。年末に死亡した場合は通常の確定申告の期限(3月15日)が先に来ますが、その場合も死亡から4か月以内に提出すれば問題はありません。

 準確定申告を行う際には、給与明細、年金の受給記録、配当収入、不動産収入など、被相続人の所得に関するさまざまな資料を確認し、申告書を作成する必要があります。

 準確定申告の手続き方法や必要書類は、次の通りです。

手続き先 故人の住所地の所轄税務署
手続きできる人 ・相続人
・包括受遺者
必要書類 ・準確定申告書第1表、第2表、付表
・源泉徴収票など

②青色申告を引き継ぐ

 故人が行っていた事業を相続人が引き継ぐ場合は、亡くなった年分から所得税を申告しなければなりません。所得税の確定申告を青色申告で行うと、所得控除の額が増えるなど有利な扱いが受けられます。事業を引き継いだ相続人が青色申告をしたい場合は、税務署に青色申告承認申請書を提出します。

 申請の期限は原則として相続の開始を知った日(通常は故人の死亡日)の翌日から4か月以内ですが、9月以降に死亡した場合は死亡日に応じて次の通り期限が定められています。

死亡日 青色申告承認申請書の提出期限
1月1日~8月31日 死亡の日から4か月以内

9月1日~10月31日

その年の12月31日まで

11月1日~12月31日 翌年の2月15日まで

8.相続発生後10か月以内にやること【遺産相続・名義変更関係】

①遺産分割協議を行う

 遺言書がない場合は、「遺産分割協議」を行うことになります。遺産分割協議とは、亡くなった人の持っていた財産を相続人がどのように分けるのかを決める話し合いのことです。遺産分割協議は相続人全員による合意が必要です。相続人が1人でも漏れると無効になってしまうため、相続人に漏れがないように確認しましょう。

 なお、遺産分割協議は相続人全員で行う必要がありますが、全員が1ヶ所に集まって行う必要はありません。電話やメール、その他の方法で意見交換をしながら協議を進めても問題ありません。

 また、以下に該当する相続人がいる場合には、家庭裁判所で代理人を選任してもらい遺産分割協議を進める必要があります。

相続人 家庭裁判所で選任してもらう代理人
認知症になって判断能力を欠く人 成年後見人
行方不明者

不在者財産管理人

未成年者 特別代理人

尚、意見の相違や連絡が取れない相続人がいて遺産分割協議が難しい場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、裁判所関与のもと話し合いを進めなければなりません。

②遺産分割協議で遺産の配分を決める

 遺産の分け方を決めるときは、民法で定める法定相続分を参考にすることができます。必ずこのとおりに遺産を分けなければならないというものではありませんが、話し合いがまとまらない場合は、以下の法定相続分で遺産を分けることになります。

相続人 法定相続分
配偶者と子 配偶者:1/2
子:1/2
配偶者と父母
※直系尊属
配偶者:2/3
父母:1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4

遺産分割の方法には、主に次の4種類があります。

(1)現物分割:相続財産を現物のまま分割する方法です。

(2)換価分割:相続財産の売却代金を各相続人に分割する方法です。

(3)代償分割:本来の相続分以上の財産を取得した相続人が他の相続人に代償金を支払う方法です。

(4)共有分割:遺産分割協議書の内容や法定相続分に応じて持分を決めて相続財産を処分せずにそのまま共有する方法です。

 この中で現物分割が1番わかりやすくスムーズな遺産分割方法ですが、難しい場合には他の遺産分割方法を検討する場合もあります。

 

 遺産分割協議に法的な期限はありませんが、相続税申告時に遺産分割協議書の提出が必要になるので、相続開始から10ヶ月以内に完了させるのが理想です。万が一、相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合には、後日協議がまとまった後に、再度その内容で相続税の申告をし直す必要が生じます。

③遺産分割協議書を作成

 遺産分割協議で話し合いがまとまったら、その内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。相続人の全員が実印を押印して遺産分割の内容に合意したことを証明します。遺産分割協議書は、誰が何を相続したのかを証明する書類でもあるため、「誰が、どの財産を、どれくらい相続するのか」を明確に記載しておかなければなりません。

④銀行や株などの証券口座の名義変更・解約手続き

 家族が死亡すると、故人名義の銀行の預金口座は凍結され、引き出しや自動引き落としができなくなります。預金口座の凍結は相続人全員が同意して所定の手続きをするまで解除できません。故人が証券口座を通じて株式など有価証券を持っていた場合は、相続人名義の口座を開設してそこに株式を移管する手続きをします。基本的に故人の口座から直接換金することはできません。

 遺産分割協議書の作成が完了したら、これらの各相続財産の相続手続きを行えます。預貯金や有価証券等の名義変更手続きの流れは、次の通りです。

手順1:金融機関や証券会社に連絡する。

手順2:残高証明書の開示、照会請求を行う。

手順3:所定の届出用紙(相続手続依頼書)を入手する。

手順4:届出用紙と必要書類を提出する 。    

手順5:相続人が口座開設を行う。(有価証券等を相続する場合)

 金融機関の名義変更手続きを行うときに必要な書類は、主に以下の通りです。

全てのケースで必要になる書類 ・本人確認書類
・通帳
・キャッシュカード
・貸金庫の鍵など
※通帳・キャッシュカードを紛失した場合は、手続きの際に申し出ると対応してもらえます。
遺言書がない場合に必要になる書類 ・相続届(相続手続依頼書)
・被相続人の戸籍謄本等
・相続関係を証明する相続人の戸籍謄本等
・相続人全員の印鑑証明書
・遺産分割協議書など
遺言書がある場合に必要になる書類

・相続届(相続手続依頼書)
・遺言書
・被相続人の戸籍謄本等
・相続関係を証明する相続人の戸籍謄本等
・払い戻しを受ける者の印鑑証明書など

⑤生命保険の死亡保険金や入院保険金を申請する

 故人が生命保険の死亡保険に加入していた場合は、契約上の保険金受取人が死亡保険金をもらうことができます。

 保険金をもらうには、保険会社に保険証券や死亡診断書のコピーなど必要書類を提出します。保険金を請求できる期限は死亡から3年以内ですが、できるだけ早く手続きするようにしましょう。

 なお、死亡保険金は受取人の固有財産となるため、遺産相続で分け合う対象にはなりません。保険金をもらう手続きも単独ででき、他の相続人の同意は不要です。

 その一方で、疾病傷害入院特約などに加入していた場合の入院保険金の受取人は被保険者になります。故人の財産となるので遺産分割の対象となり、遺産分割協議などで受取人を決める必要があります。

 例として挙げますが、かんぽ生命保険の死亡保険金請求や疾病傷害入院特約に加入していた場合の保険金請求を行うときの手続き方法や必要な書類は、次の通りです。

かんぽ生命保険 死亡保険金請求 疾病傷害入院特約保険金請求
請求できる窓口 郵便局の保険窓口 郵便局の保険窓口
請求できる人

・死亡保険金の受取人
・代理人など

・疾病傷害入院特約保険金を受け取る相続人
・代理人など

受け取れる人

死亡保険金の受取人

遺産分割協議などで決めた受取人

必要なもの ・保険証書
・受取人の印鑑
・死亡保険金受取人の運転免許証などの本人確認書類
・死亡保険金受取人名義の預貯金通帳(写しでも可)
・死亡保険金受取人の印鑑登録証明書
・被保険者の住民票の除票
・被保険者の死亡証明書(写しでも可)

※代理人への委任の場合は追加で以下のものが必要です。
・死亡保険金の受取人が記入した委任状(郵便局窓口またはかんぽ生命保険ホームページからダウンロード)
・代理人の印鑑
・代理人の運転免許証などの本人確認書類
・保険証書
・相続人全員の戸籍の附票
・相続人全員の印鑑登録証明書
・遺産分割協議書
・入院時の領収書
・入院診療明細書
・入院・手術証明書(領収書若しくは入院診療明細書のどちらかを紛失した場合に必要。郵便局窓口またはかんぽ生命保険ホームページからダウンロード)
・受取人の印鑑
・疾病傷害入院特約保険金受取人の運転免許証などの本人確認書類
・疾病傷害入院特約保険金受取人名義の預貯金通帳(写しでも可)
・疾病傷害入院特約保険金受取人の印鑑登録証明書
 
※代理人への委任の場合は追加で以下の書類が必要です。
・疾病傷害入院特約保険金受取人が記入した委任状(郵便局窓口またはかんぽ生命保険ホームページからダウンロード)
・代理人の印鑑
・代理人の運転免許証などの本人確認書類

⑥相続登記(不動産の名義変更)の手続き

 不動産を所有していた人が亡くなった場合は、不動産の名義変更手続きが必要です。この手続きは一般的に「相続登記」と呼ばれていて、法務局に必要書類と登記申請書を提出して、手続きします。

 尚、2024(令和6)年4月1日から、相続登記が義務づけられることになりました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。過去に相続してこれまで相続登記していない不動産も、登記の義務化の対象となります。

 相続登記の手続き方法や必要書類は、次の通りです。

手続き先 不動産の所在地を管轄する法務局
手続きできる人 ・不動産を相続する人
・代理人
必要書類 ・登記申請書(法務局HPからダウンロードできます)
・故人の出生から死亡までの戸籍謄本
手数料 不動産固定資産評価額の0.4%(登録免許税)
(目安:1000万円の場合4万円、2000万円の場合8万円)

⑦自動車の名義変更の手続き

 故人が乗っていた自動車は、誰かが引き継ぐ場合のほか処分する場合も相続の手続きをする必要があります。

 普通車は運輸支局または自動車検査登録事務所で、軽自動車は軽自動車検査協会の事務所・支所で手続きをします。手続きには車検証のほか遺言書や遺産分割協議書などが必要です。

 自動車の名義変更手続き先や必要書類は、次の通りです。

手続き先 管轄する運輸局または自動車検査登録事務所
手続きできる人 ・自動車を相続する人
・代理人
必要書類 ・移転登録申請書
・自動車税申告書
・自動車検査証
・自動車保管場所証明書(車庫証明)
・手数料納付書
・戸籍謄本
・印鑑証明書
・遺産分割協議書など
手数料 500円

⑧相続税の申告

 相続財産の分割方法が決定したら、相続財産の評価額を算出し相続税がかかるかの計算をします。相続税は固定資産税などと異なり、税務署が税額を計算して納付書を送ってくれるわけではありません。相続人自らが相続税の計算を行い、税務署に相続税の申告を納税を行う必要があります。

 相続税の申告期限は相続の開始を知った日(通常は故人の死亡日)の翌日から10か月以内です。

  相続税申告が必要となる主なケースは、以下のとおりです。

(1)相続財産等の総額が、相続税の基礎控除額を超えている場合

 相続税の基礎控除額は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」で計算します。

 例えば、相続人が2名の場合には「3,000万円+2人×600万円=4,200万円」が基礎控除額になります。そのため、相続財産の評価額合計が4,200万円以内であれば、相続税申告も納付も必要ありません。相続税の納税が必要となる場合は、相続税の申告が必要です。

(2)配偶者の税額の軽減の適用を受ける場合
 配偶者が相続した財産のうち、法定相続分または1億6,000万円のいずれか高い金額までは相続税がかかりません。配偶者がこの軽減措置の適用を受ける場合は、相続税の申告が必要です。

(3)小規模宅地等の特例の適用を受ける場合

 亡くなった被相続人の自宅の土地などについては、小規模宅地等の特例の適用を受けることにより、相続税評価額が最大80%軽減されます。小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、相続税の申告が必要です。

  相続税には基礎控除額の他にも様々な控除や特例が用意されています。
控除や特例を利用できるケースでは、基礎控除額の相続財産評価額であっても相続税がかからないこともあります。

 相続税の申告を行う流れは、以下の通りです。

手順1:相続財産の評価額を算出する。

手順2:相続税の総額を計算する

手順3:申告書の作成及び納税を行う

9.相続発生後1年以降に行うべき相続手続き

①【1年以内にやること】遺留分侵害額請求を行う

 遺留分とは、被相続人の配偶者、子供(子供がいない場合は両親)に対して保障されている相続での最低限の取り分のことです。

 

 各相続人の遺留分割合をまとめると、以下のとおりです。

相続人のパターン 配偶者の遺留分 子供の遺留分 直系尊属(親など)の遺留分 兄弟姉妹の遺留分
配偶者のみ 相続財産の1/2
子供のみ 相続財産の1/2
配偶者と子供

相続財産の1/4

相続財産の1/4
直系尊属のみ 相続財産の1/3
配偶者と直系尊属 相続財産の1/3 相続財産の1/6
配偶者と兄弟姉妹 相続財産の1/2 ー 

相続した遺産が遺留分に満たない場合は、遺産を多くもらった人に対して支払いを求める遺留分侵害額請求ができます。

 例えば、遺言書で「愛人に全ての財産を相続させる」と記載されていても、配偶者や亡くなった人の子供は遺留分にあたる金額を愛人に請求可能です。

 遺留分侵害額請求は裁判所などに届け出るのではなく、内容証明郵便などで相手方(遺産を多くもらった人)に直接申し出ます。当事者どうしで解決できないときは家庭裁判所で調停を申し立てることになります。

 

 ただし、遺留分侵害額請求を行えるのは、以下の期間までです。

(1)相続開始と遺留分の侵害を知ってから1年以内

(2)相続開始から10年以内

 

 故人の死亡を知ってから1を経過すると遺留分侵害額請求ができなくなります。故人の死亡を知らなくても、死亡から10年を経過すれば遺留分侵害額請求権は時効を迎えます。

 しかし、内容証明郵便の送付や調停の申立てなどにより、消滅時効の完成を阻止することができます。

 遺言書等の内容が遺留分を侵害しており納得できない場合には、遺留分侵害額請求を忘れずに行いましょう。

②【2年以内にやること】健康保険の葬祭費と埋葬費の請求を行う

 家族が亡くなると、加入していた健康保険組合から埋葬料が支給されます。
さらに、国民健康保険や後期高齢者医療制度の適用対象者であれば、葬祭費も支給されます。

 手続きの期限は死亡または葬儀を行ってから2年以内です。 加入している健康保険の資格喪失手続きと一緒に行ってしまうのが、スムーズかつ手続きし忘れを防げるのでおすすめです。

 手続き方法や必要書類は、下記の通りです。

手続き期限 死亡日から2年以内
手続きできる人 亡くなった方の配偶者、親族、同居人
手続き先

・市区町村の国民健康保険窓口
・社会保険事務所

必要書類 ・葬祭費支給申請書
・国民健康保険証
・葬儀社の領収書
・受取先金融機関の通帳
・印鑑

③【5年以内にやること】遺族年金の請求を行う

 配偶者や未成年者の親が亡くなった場合、遺族年金が遺族に支給されます。遺族年金も他の支給金と同様に、申請しないと支給は始まりません。

 請求期限は被相続人が亡くなってから5年以内に申請する必要がありますので、速やかに申請して給付を開始してもらいましょう。
 手続き方法や必要書類は、下記の通りです。

手続き期限 死亡日から5年以内
手続きできる人 亡くなった方の配偶者や子供
手続き先

住民地の市区町村国民年金窓口

必要書類 ・国民年金遺族基礎年金裁定請求書
・故人の年金手帳
・戸籍謄本
・死亡診断書のコピー
・源泉徴収票
・受取先金融機関の通帳
・印鑑

10.相続手続きは誰に頼めばいい?

遺産分割協議書など各種書類の作成を取り扱う行政書士(当事務所)

 不動産・預貯金等の相続手続き・ご相談は『おおぬま行政書士事務所』へ。
 行政書士は遺産分割協議書の作成や、自動車・預貯金などの名義変更手続き(不動産登記を除く)などについて相談できます。行政書士の業務範囲は広く、それぞれ得意不得意があり、全ての行政書士が遺産相続手続きに対応できるものではなく、専門で扱っている行政書士とそうでない行政書士では遺産相続手続きの進め方に圧倒的な差があります。

 弊所では相続手続きをメイン業務にしておりますので、相続人調査、不動産や預貯金等の財産調査、遺産分割協議書の作成や、預貯金の名義変更手続きなどについて相談・ご依頼頂けます。

 不動産の名義変更に関しては、司法書士と連携して業務を行います。

②税務申告に対応できる税理士

 相続税の申告が必要なら税理士です。所得税の準確定申告や、相続税申告などについて相談できます。税理士はあくまで相続税の申告が業務で、遺産相続手続きはその税理士と提携している行政書士や司法書士が行います。税理士は遺産相続手続きの中で相続税の申告が必要な場合、遺産分割や名義変更が終わった後で関わってくることになります。したがって相続税の申告がない場合は、税理士に依頼する必要はありません。

③相続登記が得意な司法書士

 不動産の名義変更は司法書士です。争いのない相続手続きであれば、幅広く相談でき、不動産の登記手続きを得意とする専門家です。司法書士は登記の専門家で、不動産の相続登記=不動産の名義変更を行います。

 しかし、遺産相続手続きは不動産だけではなく預金・株式・投資信託など多岐にわたります。司法書士によって違いますが、不動産登記だけでその他の遺産相続手続きには対応していない司法書士もいらっしゃれば、遺産整理業務として不動産以外の遺産相続手続きにも対応している司法書士もいらっしゃいます。

 弊所では、司法書士と連携して不動産の名義変更を行います。

④相続全般、トラブルにまで対応できる弁護士

 遺産相続トラブルなら弁護士です。相続全般について相談できます。相続人同士のトラブルの解決を無制限に取り扱える点が最大の特徴です。弁護士は直接遺産相続手続きを行うことはなく、弁護士に依頼するケースとしては、トラブルになりそう・裁判調停に発展しそうな遺産相続手続き(特に相続人間で話し合う遺産分割協議)、紛争性が高い遺産分割協議であれば、初めから弁護士に相談することをお勧めします。

【まとめ】相続の手続きはなるべく早めに専門家に相談・依頼するべし

 ここまで、家族が死亡して相続が発生したときの相続手続きの流れ・手順をチェックリスト化してご紹介しました。

 家族が死亡した場合はやることが多くなります。このページでご紹介したチェックリストに沿って手続きを進めていくと、比較的スムーズに相続ができるでしょう。

 相続手続きは自分で行うこともできますが、少しでも手続きの手間を減らしたい、ミスなく手続きを終えたい場合には専門家に相談することをご検討ください。

 しかし、相続が起きた後には、数多くの手続をする必要がある上、中には期限に遅れると不利益を被ってしまうものもあります。 また、亡くなった人や財産の状況により行うべき手続も異なるため、慣れていない方にとっては手続の要否を判断するだけでもひと苦労でしょう。

 おおぬま行政書士事務所では、相続手続きに関する相談をお受けしています。初回60分のご相談は無料、かつオンラインでのご相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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